家へ着いてみると、8時をとっくに過ぎている。
大急ぎで教科書を入れ替え、制服に着替えて部屋を飛び出しかけた。
「・・・と、忘れるところだった」
二日前からそのまま机の横に放置されている城東電機の紙袋を手にとり、今度こそ家を出た。
学校へ向けて走りながら、俺は可愛いクラスメイトの顔を思い浮かべる。
彼はこのプレゼントを喜んでくれるだろうか。
ひょっとしたら、今度は一緒に試合を見に行こう・・・なんて、誘ってくれたりしないだろうか。
そのとき俺は、どういう風に答えると一番自然だろう。
一条のように「そうだね、原田!」なんて無邪気な返事をしてニコニコ笑うのは、けして俺のキャラじゃない。
それより、何を着て行けばいいのだろうか。
まりあには・・・とりあえず、黙っておいたほうがいいだろう。
そういえば、妹シリーズの時計もまだ、MP3をダウンロードしてそのままになっていた。
せっかく城東電機のホームページで見つけてすぐに店まで買いに行ったというのに、まだ一度も使えていないとは、俺も随分とツイていない。
今日、帰ったらさっそく箱から出しておこう。
でも家族に見つかるとマズイので、日ごろはサイドボードの抽斗にでも入れておいたらいいだろうか?
時計は・・・・この袋の隣にあった城東電機の紙袋に仕舞ったままだったか。
今朝は慌てていたから、あやうく間違えるところだった。
あんなものが原田の手に渡ったら、俺は1週間寝込むどころでは済まなくなる。
校門が見えてきた。
時間は・・・ギリギリ遅刻セーフだ。
今日こそ、愛しき俺のクラスメイトへこのプレゼントを渡す。
fin.
『城陽学院シリーズPart1』へ戻る