戻って来た住職と一緒に解体したテントを物置へ仕舞いに行ったあと、奥さんが声をかけてくれて、まりあちゃんと一緒に寺務所で雑煮をよばれた。
「熱いから気を付けてね」
「お気遣い頂いてすいません。では、頂きます」
手を合わせてお椀を抱えた。
隣でまりあちゃんが、ふうふう言いながらお餅に少しづつ齧り付いている。
いかにも猫舌らしいその食べ方が可愛らしかった。
住職と奥さんは、まだ仕事が残っているらしく、寺務所には俺とまりあちゃんだけになった。
足元に置かれた火鉢の穏やかな温もりも手伝って、あっという間に疲れと冷えが癒えてゆく。
「今日は手伝って頂いて、ありがとうございました」
突然お椀を机に置いて、まりあちゃんが言った。
「いやいや・・・でも結構大変だね。毎年手伝ってるの? 偉いね」
「べつに・・・伯父さんと伯母さんはもっと大変ですから」
窓の外で、相変わらず何か作業を続けている二人を見る限り、確かにその通りらしかった。
「優しいんだね」
「そ、そんなことないです!」
真っ赤になると、まりあちゃんはまたお餅に小さく齧り付き、その後はもくもくとお雑煮を食べていた。
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