なかなか戻って来ない女子4名の様子を俺は見に行った。
「おや、あれは・・・」
鳥居を出たところで突っ立っている青い振袖を見つけ、俺は声をかけてみた。
「あ、原田くん・・・」
佐伯は案の定ここに戻っていた。
「そんなに気になるんだったら、もっと強く言って見ればよかったのに」
早々に御神籤を終えたのか、それとも結局、御神籤は引かずに、さっさとここへ戻っていたのか。
御神籤コーナーの混雑ぶりを見るに、恐らくは後者なのだろうと仮説を立てる。
「うん・・・でも、みんな御神籤引きたがってたし、入りたいのは私だけみたいだったから、無理に誘ってもさ・・・」
「でもお前らオカ研だろ? みんな戻って来たあとで、もう1度誘ってみれば一緒に入ってくれるんじゃないのか」
「ああ・・・それはちょっと難しいかな。山崎はこういうのは苦手みたいだし、小森はなんか予定あるみたいだし」
だからと言って一人で入るのは、つまらないし・・・と言ったところなのだろう。
江藤も全然ダメだ。
「おっしゃ、じゃあ一緒に入ろうぜ」
俺は佐伯の腕をとると、お化け屋敷を指さして誘った。
「えっ、・・・ああ、でもここ・・・」
佐伯が戸惑った顔をして俺を見る。
「俺も実は興味あったんだよ、新年早々、死霊の棲む家」
「本当にいいの?」
「もちろん」
佐伯はちょっと迷っていたが、もう一度お化け屋敷を振り返り、俺の笑顔を確かめると、ニッコリ笑った。
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