家に帰ってみると、さらにびっくりした。
「お帰りんこ〜♪」
「ただいまん・・・いや、って・・・えぇっ? うわぁ〜っ!!」
危うく我が家の玄関先で卑語を口にしかけ、寸前で押し留めた俺は、リビングから聞き慣れない声に出迎えられたことに気が付くと、次の瞬間、女に抱きつかれていた。
吐きかけられる息が相当ビール臭い。
色々と何事だ!?
「春江さん、相手は高校生だから、ほどほどにね・・・」
暖簾を抑えながら英一さんが部屋の入り口に立ち、俺たちを見て苦笑している。
「なんで・・・?」
俺は抱きついてきた女性の腕を自分の身体から解くと、靴を脱いでようやく家に上がった。
彼女は蒲公英春江。
本日、英一さんとともにうちの学校へ来校し、俺達の被写体を勤めてくれたモデルさんだ。
俺は帰るなり自分の家で、あの美人絵画モデルに放送禁止用語を言わされかけ、熱烈ハグを受けたということだ。
もっとも今は着物を脱いでラフなスウェットの上下に着替えており、感触によると上半身にインナーはつけていない。
・・・今夜もまた眠れそうにない。
「こんなハンサムボーイと一晩過ごせるなんて、ドキドキしちゃうよぉ」
暖簾を潜ってリビングへ入ると、春江さんが隣に並び、俺の肩へ腕を回してきた。
背丈は175ある俺と殆ど変わらない。
したがって油断をすると肩甲骨から脇の下あたりに、当たりそうになるため、俺は慎重に俺は間合いをとった。
あんなものをまた押しつけられたら、今度こそ惨事になりかねない。
「いや、もうこっちがドキドキするんですけど・・・って、えっ、泊っていくんですか!?」
「そう。明日は城南女子に行くからね、わざわざ宿をとらなくても、うちに泊ってもらったらいいかと思ってね」
英一さんが教えてくれる。
うわ、ははっ、ひゃひゃひゃ、いいのかなぁ〜、俺みたいな健康的な十代男子が一つ屋根の下にいるっていうのに、アハ。
変なテンションになってしまった。
その直後ばっちり、春江さんのおっぱいを押しつけられ、俺は鞄で前を抑えながら、不自然な姿勢で部屋へ戻る羽目になってしまった。
階段の下から春江さんに声をかけられる。
「着替えたら降りてくんのよ〜。いや〜若いねぇ、元気だねぇ〜、いいねぇ〜!」
「春江さん、可哀相だから、ね・・・」
しかもバレてんじゃねぇか!
04
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