<シーン15:修羅場る生徒会執行部 其の四>
「朝チュンどころかフラグを次々とへし折るとはいい度胸・・・。さっさと取り返しなさい。」
「これ以上、書けるかバカヤロー!」
原稿に目を通した会長に冷静な声で言われて、石田先輩が反論する。
石田先輩の顔は真っ赤だった。
「ワープロ代。」
「鬼! 悪魔! 人でなし!」
半泣きになりながら原稿を受け取り、何度目かの書き直しを命じられて生徒会室から出て行った石田先輩の悲壮感漂うその背中を、上杉が妄想から醒めやらぬ醜い顔で見送っている。
「語彙不足に目を瞑ってくれるなら、いつでもネタ提供してあげるんですけどねぇ・・・あの原稿の自主規制箇所、あたしの脳内ではバッチリ補完済みです」
上杉が不気味に親指を立てながら断言する。
その5分後、週に一言も声が聞けない副会長が、久しぶりに口を開いた。
たぶん、今週はこれが最後だ。
蚊の鳴くような声で「眩暈がする」と呟いた副会長は、そのまま蒼い顔で生徒会室を後にすると、先に一人で帰宅してしまった。
20
☆BL短編・読切☆へ戻る